総合・社会
2020.02.07
"変動性"の弱点克服 次世代型の太陽光発電所が完成
2019年12月12日、愛知県豊橋市で「次世代型」ともいえる太陽光発電所の見学会が開かれた。特徴的なのは、直流の太陽光電力を交流電力に変換して電力系統網に送電するパワーコンディショナの定格出力を大きく上回る規模の太陽光パネルが設置されている点だ。太陽光パネルの合計出力は、パワーコンディショナの定格出力49.5㎾の実に6.5倍にあたる326.4㎾。太陽光パネルで発電した電力が無駄に余ってしまうように思われるが、併設された蓄電容量420kWhの蓄電設備が日中の余った電力を吸収し、日没後に電力を供給する。つまり、この太陽光発電所は、気象の変化によって発電量が変動してしまうという太陽光発電の”変動性”という弱点を克服した次世代型の太陽光発電所といえるのだ。
日中にパワーコンディショナの定格出力を超えて余った電力は蓄電設備にためられる。日没後は蓄電設備からの電力の放電によって、電力系統網に電力を供給する。発電した電力は、固定価格買取り制度を活用して1kWhあたり32 円で中部電力に売電される。太陽光発電所を建設し、所有する創電によると、蓄電設備を導入しても充分採算が合うという。
創電の吉田豊社長は、「開発の経緯はダックカーブ問題。電力会社は出力変動がある太陽光発電に対して大手を振って応援できない事情があるが、蓄電設備で出力変動を制御するシステムがあれば問題ない。韓国では、産業用の蓄電設備から電力販売もFITの適応対象になっているので、日本も同じようになってほしい。メーカーからは24時間売電できる蓄電設備の提案もあったが、コストが合わなかった。(今回の設備は当社)オリジナルで他社にはない設備。いま太陽光発電は地域の人からの信頼が損なわれているが、遊休地の利用や災害時にも利用できるような電力の地産地消など、メリットが多くあるので理解してもらいたい」と語る。
太陽光発電所にコンセントを設置すれば、産業用機械や電動工具などの電源として利用できるそうだ。蓄電設備を併設した太陽光発電所は、災害発生時の非常用電源としての活用も期待できる。
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