総合・社会
2019.09.26
千葉大停電時に活躍した分散電源
9月9日未明、関東地方に台風15号が上陸し、千葉市内では瞬間最大風速57.5mを記録。各地は暴風に見舞われ、多くの住宅が被害に遭った。千葉県市原市の山倉ダムでは、水上に浮かぶ太陽光発電所で火災事故が発生した。
強風の影響で、送電線をつなぐ鉄塔2基が倒壊したうえ、多くの電柱が損傷、千葉県内では最大64万戸に及ぶ大停電が発生した。台風発生から10日経った現在も3万戸で停電が続いている。
そんななか、太陽光発電や蓄電池が非常用電源として活躍した。千葉県富津市に住む作本徳行さん(70)は、自宅敷地内の太陽光発電設備の電力を利用して、洗濯機や冷蔵庫、炊飯器を使用した。作本さんの太陽光発電所には自立運転機能つきのパワーコンディショナにコンセントソケットが備えつけてあったのだ。
作本さんは、「冷蔵庫2つと洗濯機を使用した。3日間、夕方まで使用できた。発電機が壊れていたので太陽光発電があってよかった」と語る。
千葉県君津市在住の朝生裕之さん(61)は、自宅に設置していた蓄電容量7.4kWhの蓄電設備を停電時に使用した。朝生さんは、「(蓄電池から)つながっているコンセントが4つあったので、冷蔵庫をまずつないでくれと妻に連絡した。ポットや炊飯器をつなぎ、2日ほど蓄電池を使用したようだ」と振り返る。
低圧太陽光発電所を近隣住民に開放
再エネ・省エネ設備会社のサンエーは、千葉県君津市内のモデルルームにある出力6㎾の太陽光発電設備で発電した電力を停電時に無償で提供したほか、同様に富津市内に保有する出力43.7㎾の低圧太陽光発電所の電力も近隣の住民に無償で提供した。
サンエーの太陽光発電所の隣にある医療法人さくらクリニックの関係者たちは、停電時の携帯電話の充電などに太陽光発電所を利用した。さくらクリニックの長谷川洋義事務長は「出勤してくる職員は情報があったので電力を利用させてもらい、情報を得た市民の方も来られるようになった。大変助かった」と述べ、石代誠理事長も「職員も何人も助かり、感謝している。ありがたい」と話した。
サンエーの低圧太陽光発電所は3.11をきかっけにサンエーが建設したもので、自立運転機能つきのパワーコンディショナとコンセントが備えつけられている。片野支店長代理は「モニタに『連系/自立ボタン』があるので自立運転機能に切り替えると電気を使うことができる」と説明する。
君津市に住む作本さんの太陽光発電所もサンエーが建設した。サンエー千葉支店の片野支店長代理は、「自立運転機能がついているパワーコンディショナであればコンセントは簡単に設置できる。経済的にも費用がかかるものではないので設置することをお勧めする」と非常用コンセントの設置の重要性を呼びかける。
低圧太陽光発電所は全国で55万ヵ所にのぼるが、そのほとんどが非常時に電力を供給できる設計になっていない。今後は減災・防災の観点から、太陽光発電所の非常時の利用を対策として進めていくべきではないだろうか。
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