総合・社会
2020.01.15
災害対策でEV利用拡大か
日産自動車が電気自動車『リーフ』の販売を伸ばしている。日本で初めて電気自動車を商用化した2010年の販売台数は4400台だったが、17年と18年は2万2000台を突破した。車の性能向上や認知度の上昇もさることながら、最近は防災意識の高まりを背景に非常用電源としての機能が注目されている。電気自動車に搭載されている大容量蓄電池は、家庭の太陽光発電設備などでつくった電力をためたり、家庭へ給電したり、非常用の電力供給設備として使用できるのだ。
日産自動車北日本リージョナルセールスオフィスの高橋剛氏は「電気自動車の蓄電池は走行用の電池だが、単体の蓄電池としても使える。家庭の3~4日分の電力を賄え、災害時にガソリンの供給が滞っても走行可能だ。災害に強い電気自動車のニーズは高まっており、徐々に販売台数は伸びていくだろう」と話す。
自治体もEVを導入
台風や豪雨、地震などによる停電に備えて、電気自動車の電力供給機能に着目する地方自治体が増えている。日産自動車は19年度内に30以上の地方自治体と防災協定を結ぶ予定だ。
高橋氏は「電気自動車の有効性が証明されたのは、東日本大震災の時が最初。その時の教訓を今後に活かすため、陸前高田マラソンを応援している」と語る。19年11月13日、陸前高田市でマラソン大会が開催され、大会ではリーフが先導車を務めた。「福島県いわき市には日産自動車の工場がある。いわき市で2月に開催される『いわきサンシャインマラソン』でもリーフが先導車を務めている」と高橋氏。
太陽光発電設備や電気自動車などを活用して、家庭における再生可能エネルギー電力の100 %自給自足を可能にするオフグリッドハウスの実証試験を進めてきたインリーグリーンエナジージャパン。同社の山本譲司社長は、電気自動車の可能性についてこう語った。
「新型リーフの蓄電容量は62kWhオフグリッドハウスで集めたデータの中で発電量がほぼゼロになるケースは1年で3日。4~5日の電力需要を賄えるリーフを使えば、ほぼ住宅のオフグリッド化が実現する。日本でリーフが増えれば 日本のエネルギー事情とレジリエンス(国土強靭化)に多大な貢献ができる」。
日産自動車は、電気自動車の車種を増やしていくようだ。「『東京モーターショー』ではコンセプトカーとして軽自動車のEVとSUV(多目的スポーツ車)のEVを披露した。お客様のニーズに合わせた形で市場に投入していきたい」と高橋氏は意気込む。
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