総合・社会

2020.08.06

異常豪雨で被害甚大 〝脱炭素化〟待ったなし

今年7月、停滞する梅雨前線の影響で、豪雨災害が全国各地で発生した。7月28日には、山形県を記録的な豪雨が襲い、翌29日にかけて最上川が氾濫。多数の住宅や農地が浸水被害を受けた。最も被災を受けた大石田町を訪れると、住民が後片付けに追われていた。

今宿区長を務める高橋功さん(78)は、「2、3日雨が続いた。たまった水が一気にきた気がする。何十年か前にも最上川が氾濫したことがあるが、今回の方が(規模が)ずっと大きい」と話す。

7月上旬には、九州を中心に大規模な豪雨災害が発生した。7月4日早朝、熊本県人吉市や八代市では球磨川が氾濫、鉄橋が流されたほか、濁流にのまれ、全壊した住宅も少なくない。

豪雨災害によって田畑が浸水し、農業も大きな被害を受けた。農林水産省は、8月3日までの集計で、一連の豪雨災害による農林水産関係の被害総額が44道府県で1197.9億円にのぼったと公表した。

畑の様子を見に来た地元農家の青野一男さん(79)は、「80歳近いが、こんなことは生まれて初めてだ。葉の青いところがちょっこっと水から顔を出していたが、汚れているところは水没して完全に見えなくなった。(収穫はできず)トラクターでぐしゃぐしゃにして終わりだ」と語る。

7月31日の内閣府の発表によれば、豪雨災害による死者数は82人、行方不明者数は4人、住宅の全・半壊数は846棟、床上・床下浸水数は1万5800棟を超えている。

熊本県人吉市に住む花田淳さん(68)は、「1965年の水害を踏まえて私の親が家を嵩上げしていたが、今回は当時の最高値より2mも水位が上がった。ボートで助けられた人もいる。まさかこんなことになるとは思わなかった。なめていたわけではないが、こんなことは異例だ。人吉の町の6~7割が水に浸かっている。こんなことは今まであり得なかった」とし、「人吉と球磨だけかというと被害は全国各地である。災害は人間の責任だ。地球が温暖化していると学者は言うが、温暖化が何をもたらすか、謙虚にならないといけない」と言う。

異常気象が起こる要因のひとつに、地球温暖化の影響を指摘する声がある。1988年に発足したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、第5次評価報告書で、世界の平均気温が1880年から2012年の間に0.85℃上昇したとしたうえで、その温暖化は95%の確度で1750年以降の人為的な二酸化炭素の排出が招いていると報告している。さらにIPCCは、二酸化炭素の排出が抑制されない場合、2100年までに世界の平均気温が2.6~4.8℃上昇すると予測し、一層激しい異常気象が起こると警告している。いまや人為的な二酸化炭素の排出削減は国際社会の共通課題だ。〝脱炭素化〟を早急に進める必要があるのではないか。

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