総合・社会
2020.04.10
国内初!ソニーが遠隔地で再エネを自家消費
ソニーは2020年2月、再生可能エネルギーの電力を遠隔地で自家消費する新しい取り組みを始めた。静岡県焼津市の倉庫に出力1.7MWの太陽光発電設備を設置し、発電した電力を倉庫内で自家消費しつつ、余った電力を遠く離れた静岡県榛原郡の工場へ供給する。自己託送制度という新しい仕組みを活用した国内で初めての取り組みだ。
自己託送制度とは、太陽光発電設備で発電した再エネ電力を遠く離れた場所で使うために送配電網を利用する制度である。設備を設置するスペースのない施設でも再エネを自家消費することができるようになる。ただし、送配電網を利用するため、電力の需要と供給を一致させなければならない。利用者には、電力の消費量と太陽光発電設備の発電量を予測する技術が求められる。そこでソニーは、自己託送で求められる電力の消費量と太陽光発電設備の発電量の予測などの運営を、東京電力エナジーパートナーに委託した。
自己託送の利用拡大⁉
同社は2018年に事業用電力の100%を再エネで賄うことを目指して『RE100』に加盟し、2040年までに実現する目標を掲げている。今後も太陽光発電の導入を増やし、世界で6ヵ所、出力に換算して合計7.4MWの太陽光発電所の稼働を計画している。
ソニーの品質・環境部、環境グループの鶴田健志ゼネラルマネージャーは、「(再エネの固定価格買取制度を活用しない)“非FIT”の太陽光発電設備が世の中に多く出回るのが30年後。それまでに下地をつくり FITの売電期間が切れた設備を大量に購入し、30年以降急拡大を図るシナリオだ」と意気込む。
いま、企業の間で再エネの需要が急速に拡大している。脱炭素社会の実現を目指す世界的な潮流のなかで、環境や社会、ガバナンスに配慮する企業に投資が集まるESG投資が普及しているからだ。遠隔地に設置した太陽光発電設備で自家消費する自己託送制度を活用する動きが活発になるかもしれない。
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